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✤ 道 [✤ 読書ノート]

 
山村暮鳥の詩「」は、ちょっと奇妙な作品です。
最初の2行に高村光太郎の 詩「道程」を思わせつつ、しかし、残る3行で急に様子が変わります。

思うに、これは、暮鳥が
高村光太郎の 散文「道程」を受けて、「宇宙・自然において道を成すのは人類のみならず」, 「宇宙・自然では人間世界の道のみが大切にあらず」と、書いた詩なのでは?

人間が通る道には、他の小さな生物も居る。強い人間が進む道を、弱者も通ることになる。宇宙・自然において、人間, 強者だけが特別な子供なのではない。
そんな気持ちを感じます。

高村光太郎「道程」(散文) の抜粋:
 ー 生育のいい草の陰に小さい人間のうぢやうぢや匍ひまはつて居るのもみえる
 ー 腐るものは腐れ
 ー 僕は今のところ彼等にかまつてゐられない

光太郎は、1883(明治16)年生まれで、暮鳥の1歳年上です。ほぼ同年齢の2人には、大きな 出生格差 が存在します。
光太郎は、東京美術学校の教授 (彫刻科) で帝室技芸員の父親をもち、恵まれた環境の中、23歳にして約3年の海外留学をしています。「道程」を発表した年齢は、31歳。
一方の暮鳥は、群馬の農家出身で、家庭環境が複雑な上、貧困の中で育っています。

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