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❖ 杜子春 [✤ 読書ノート]

 
芥川龍之介「杜子春」の初読は、小学3年生の夏休み ... 宿題の関係で読んだ幾つかの短編の1つです。内容が何だかよく分からなくて、読後に直ぐ読み返したのを覚えています。

杜子春は、自分で働かずに、他から与えられた金で贅沢三昧ばかりして、反省も無い若者です。最後は心を改めたようですが、それで「家と畑」をプレゼントするなんて、ちょっと甘やかし過ぎでは?
... と、子供心に思いました。
 
でも、私がだんだん大人になり、その過程で何度か読み直しているうちに、いろいろ想像が広がって面白くなってきました。

例えば、
夕日に映った杜子春の影 ... 掘れば金が出るのは、最初に「頭」、次が「胸」、その次が「腹」です。
杜子春の「頭の中」には 金と贅沢, 「胸の中」にも 金と贅沢、「腹の中」には、仙術で得られる物への 打算 があったという解釈もできます。でも、打算よりもっと深い所に、親の愛に対して 申し訳ない気持ち がありました。

杜子春は、金目当ての打算で彼に近づいてきた人間を薄情と言いつつ、正に自分もその様であることに、気づいていなかったですね。

仙人は、「感謝の心」を呼び起こさせたかったよう思いました。
そして、それが出来ないのなら、仙人になるどころか、生きる価値も無い と...

仙人が哀れんだのは、杜子春ではなく、彼の親だったように感じます。死してなお、息子の行く末を案じる親心 ... 我が子に甘い親心 ... 最後のプレゼントも、今では理解できるような気がします。

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