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杜子春 [日本語 - 原書]

           
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作品 : 杜子春
著者 : 芥川 龍之介
初出 : 1920(大正9)年
雑誌 : 赤い鳥

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中国は唐の時代、
華やかな洛陽の都の西門の壁に、ぼんやりと寄り掛かっている若者 ... 杜子春です。

金持ちの息子でしたが、遺産を使い尽くし、寝る場所も食べる物もなく「いっそ死んだ方がましかも知れない」と、考えているところに突然、奇妙な老人が声を掛けてきます。
「夕日に映った影の頭の部分の地面を掘れば、車いっぱいの黄金を得られる」
その言葉に従って1夜にして大金持ちになった杜子春は、贅沢の限りを尽くします。そして、3年で元の状態に逆戻りです。

また同じ場所で同じ老人に会い
「夕日に映った影の胸の部分の地面を掘れば、車いっぱいの黄金を得られる」の言葉により、1夜にして大金持ち, 3年で破産 ... を繰り返します。

「夕日に映った影の腹の部分の地面を掘れば、...」
3度目は、もう黄金は要らないので、老人の弟子にして欲しいと頼みます。「贅沢に飽いたのでなく、薄情な人間に愛想が尽きた」と、言います。不思議な力をもつ老人は仙人だから、仙術を学びたいと思うのです。

老人 = 仙人は、杜子春に「無言の行」を言いつけます。
魔性が現れて誘惑しようとも決して声を発してはいけないという指示を守った結果、神将に刺し殺されて死に、魂になって閻魔大王の前に立つも質問に答えずに地獄送りとなり、地獄のあらゆる責め苦にも声を発しません。畜生道に落ちて痩せ細った馬になった両親が目前で、自分の代わりに責め苦にあわされても耐えます。
しかし、母の微かな声「お前の幸福のためならば、何でもないこと...」が聞こえた時、瀕死の馬の首を抱いて「お母さん」と、叫びます。

杜子春は、また洛陽の西門に佇んでいました。
仙人にはなれずとも、これで良かったのだ。これから先、何になっても、人間らしい、正直な暮らしをするつもりだと、晴れ晴れした声で言います。
これを聞いた仙人は、安心して立ち去ります。最後に杜子春に贈ったは、泰山の麓にある一軒家と畑でした。

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読書ノート: ❖ 杜子春


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